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「返報性の原理」の限界と有効範囲は?

返報性の原理」とは、もらったものに対して何か返さなければならないという心理を指します。試食やサンプルの配布など、様々な場面で活用されています。しかし、インターネット上の無料レポートでは効果が限定されるようです。その理由は何なのか、次回の発表で明らかにします。

「返報性の原理」というのがあります。要するに
「もらいっ放しだと気が引ける」
という人の性質をもっともらしく漢字にしただけですが、あっちこっちでこの「返報性の原理」が活用されてます。

たとえば、スーパーやデパ地下の試食コーナー。

「単にこういう商品があることを知ってもらう」ために試食をやっている場合もありますが、地域の物産展なんかだとそんな悠長なことは言ってられません。

1ヶ所のデパートにはせいぜい1週間しか出展しないのですから、買いそうなお客さんには積極的に試食させて、その場で買ってもらわないと儲かりません。

そこで、「こっちも呼ばれてね」「これもどう?」と、ガンガン食わせて「買わないと悪いな」とお客さんに思わせるわけです。

おかげで、昆布の粉末だのすり身の天ぷらだの、なくても全く困らないものを何度買い込む羽目になったか。

もう一つ例を。

息子が「紙パックの牛乳は紙臭いからいらん。ビン入りの牛乳がほしい」と言い出しました。

でも、近所のスーパーでビン入りの牛乳なんて売ってませんので、牛乳配達をしているお店を電話帳で探して、近所なのでとりあえず行ってみました。

牛乳の値段を聞いた瞬間に「あ、よそにしよう」と思ったのですが、ビン入りの牛乳を2本もらってしまったので「もらいっ放しは気が引けるな」と心が揺らぎます。

結局、その牛乳を息子がメチャクチャ気に入ったので、1日1本ペースで配達してもらうことにしました。

と、ここまで読むと「おお、なるほど」と思うのですが、「返報性の原理」にはどうも限界があるようです。

たとえば、インターネット上では「無料レポート」なるものがパンパカ配布されています。

名前とメールアドレスを入力するだけでpdfファイルが手に入るのですが、あまりにも広まりすぎて「もらいっ放しだと気が引けるな」などとは微塵も思わなくなりました。

※私だけの話ではありません。無料レポートで集まるリストの反応率はメチャクチャ悪いというのが常識です。

pdfファイルみたいに実体のないものだからじゃないのか?
小冊子やCDだったらどうなんだ?

そう思われる方もいらっしゃるかと思います。

でも、私自身の経験では、そういう物を送ってもらって、「もらいっ放しだと気が引けるな」と思ったことはありません。もちろん、内容が良かったので有料の商品やサービスを申し込んだ事はありますが。

ということは、「直接手渡されたかどうか?」が「返報性の原理」が働くかどうかに掛かっているのでしょうか?

あ、ちょっと待ってください。

繁華街で、ポケットティシューか何かをばら撒いている人が良くいます。あるいは、何かの展示会に出掛けたらやっぱりサンプルを配りまくっています。

それで「もらいっ放しだと気が引けるな」と思った事は一度たりともありません。

ここで質問です。だったら、「返報性の原理」が働くのはどういう場合でしょうか?

上に挙げた事例(ご自身の経験も)を参考に考えてみてください。良ければメールでご意見をお寄せください。

私が導き出した答えは次回に発表します。

2007年9月3日接客

Posted by 新谷貴司