ゲンロン戦記-他人の失敗と「誤配」される情報から学ぶ

しばらく前にTwitterで勧めている人がいた「ゲンロン戦記」を読んでみました。

著者の東浩紀氏は有名な批評家ですので、「有名タレントがお店を出して」みたいな気楽な話かなと思ったら、とんでもないエピソードの連続でした。

  • 祖利益と純利益どころか売上と利益の区別が付かずに、売上の3分の1を寄付
  • 原価計算ができてないので、経費をかけて豪華な本を出してしまう
  • バカ売れ間違いなしと思ったら在庫の山
  • 「自信作だ」と出した本がネットで炎上
  • 商品・サービス作りには熱心だが、事務や経理には無関心
  • なので経理担当者に経理を丸投げしたら、預金を使い込まれる
  • 資金が尽きてきて、対外的には派手に活動しているが、脳内は金策で一杯
  • 事務仕事を丸投げしたら社員が放置
  • 古株社員は、頼んだことはやらないが勝手なことはする
  • 右腕気取りの社員を切ったら他の社員もゴッソリ辞めた
  • この会社は自分が支えないと…と空回りして、心身ともに疲弊してしまう
  • 自分と似たような人を集めてしまい、苦手な部分を補う人がいない

こうやって書くと、ベンチャー会社を興した時にありがちな失敗例です。

しかし、一つの会社について書かれた新書にこれら全部が載っていると
「ここまで失敗を重ねてよく潰れなかったな」
と思えます。

ご本人が反省・改善した賜物なのと、周りの人が支えてくれる人徳ということなのでしょうか。

「起業した人が犯しやすい失敗」が網羅されていますので、これから起業しようという人や、起業したての人は必読です。

 

では、独立起業して何年も経つ人には、あまり読む意味がないのかというと、そうではありません。

大きな失敗をいくつも重ねてはいますが、その失敗で始まったものが収益の柱になっているというエピソードが興味深いです。

 

たとえばイベントスペース「ゲンロンカフェ」。

当初の予定では普通のカフェにするはずが、企画した社員の使い込みが発覚して、退社してもらう羽目に。

その後、ゲンロンカフェは

  • 識者を呼んで話をしてもらう
  • みんな話し足りないので時間無制限
  • 遠方の人のために動画で有料配信する

と当初の予定とはまったくの別物になり、ゲンロンの収益を支える柱になりました。

 

このように、当初は考えてもいなかった事業が収益の柱になるということは、ままある話です。

そして、そのきっかけになるのが、著者が文中に書いている「誤配」です。「誤配」とは、ゲンロン戦記内で

自分のメッセージが本来は伝わるべきでない人にまちがって伝わってしまうこと、本当なら知らないでもよかったことをたまたま知ってしまうこと。

と説明されています。

たとえば、業務に関するセミナーを受講する場合を例にとってみます。

セミナーの時間内に講師が話す内容は「伝わるべき内容」です。「こういう事柄について話すだろう」と参加する前から予想できます。

一方、その後の懇親会で盛り上がった時に周りの人が口にする内容は「誤配」でしょう。

懇親会に参加した人が話す内容まで事前に予想できるわけがありませんので、

本当なら知らないでもよかったことをたまたま知ってしまうこと

と言えます。

 

あらかじめ予想していることには、あまり衝撃を受けませんが、予想外のことに接すると大きく心を動かされるものです。

心を動かされた時に何らかの「気づき」があるのですから、ゲンロン戦記にある

誤配こそがイノベーションやクリエーションの源だ

という記述はまったくその通りです。

 

「誤配」を受けるためには、よく知らない人とのやり取りを耳にする機会を増やす必要があります。

コロナ禍で飲み会や交流会などは非常に開催しにくい状況ですが、それでも

  • ワクチン接種済みの人に限定
  • 会合中に食事や飲酒はしない
  • 参加者はマスクをずっと付ける
  • まめに室内の換気をする
  • 部屋の広さに対して大人数にしない

などの手立てを取れば、かなり安全に会合を開けるのではないでしょうか。

あるいは、Zoomを使ったオンライン会合なら大人数でもお酒を飲んでも密とは無縁です。

感染症対策を心がけつつ、あまり接することのない人と話す機会を設けたいものです。

 

直接人と話をする以外でも、

本当なら知らないでもよかったことをたまたま知ってしまう

機会を増やす方法はあります。

一番手っ取り早くて楽な方法は、Twitterで少しでも興味があるツイートをしている人を片っ端からフォローしていくことです。

ほかのSNSやサービスでは、逆に自分の興味・関心を固定してしまう方向に進みやすいです。

  • Amazon:自分がチェックした本と同系統の本を薦めてくる。
  • Youtube:自分が最近見た動画と同系統の動画を薦めてくる。
  • Facebook・Instagram:関係が強い相手や興味関心を持っていそうな投稿を重点的に表示させる。
  • Google Discover:検索履歴などから推測できる興味・関心に基づいて記事を表示。

 

一方、Twitterの場合、フォローした人の投稿を新しい順に設定できます。

これがなぜ重要か?

面白そうだと思ってフォローした人でも、自分の興味・関心とは関係のないツイートをします。

心底どうでもいいツイートが多いでしょうが、たまに「今まで興味がなかったが気になる」ツイートが混じります。

サービス側が表示させる投稿を操作しない、という点が重要なのです。

これもまた「誤配」と言って良いでしょう。

 

フォローする人数を増やすとタイムラインをチェックし切れなくなる事を気にされる方がおられます。

チェックし切れなくても問題ありません。

交流会や懇親会でほかのテーブルにいる人の会話まで全部聞こうと意気込む人はいないようなものです。

Twitterの画面を開いた時に、たまたま目に付いたツイートだけ読んでください。

 

「誤配」には、SEOやコピーライティングのような「今月始めて来月売上アップ」という即効性は全く期待できません。

それでも「誤配」が届かない生活を続けていると、自分の視点や考え方が固定して、変化が生まれにくくなります。

世の中の変化が早く大きい現在では、視点や考え方に変化が起こりにくい事がリスク要因になります。

柔軟さを保つためにも、自分が予想も期待もしていない情報が飛び込んでくる状態を作るようにしておきましょう。

 

「失敗のオンパレード」「誤配」のほかにもゲンロン戦記には興味深い内容があります。

新書本で読みやすい本ので、ぜひご一読を。

私自身も、新型コロナが流行しだしてから、会合に参加する機会がほぼゼロになってしまいました。

ワクチン接種済みの人がもっと増える来年度には、交流会や勉強会など開催したいです。

その時は告知しますのでぜひご参加ください。


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Posted by 新谷貴司