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学校で軽視されている「確率統計」の勉強をしないと

宝くじの当選確率や高齢者や職業別の当選者のデータを分析し、確率・統計の知識の重要性を伝える記事です。

あまりにもヒドすぎる記事を見てしまったので紹介します。

宝くじの高額当選者ってどんな人?

とりあえず、この記事を書いた人は「高校数学の確率・統計」を10回くらい音読、もとい写経するべきだと思う。

購入歴が長いほど確率は高くなり、“継続が幸運を呼ぶ”ということがわかります。

いいえ、単純に「購入枚数が多いほど当たりやすくなる」だけです。

ジャンボ宝くじ1等の当選確率がたしか333万分の1ですので、1000枚買えば10枚買う場合の100倍の当選確率があります。それは10枚ずつ100回買っても同じこと。

1度に大量購入するよりも長い年月をかけて適度に購入するほうが当選確率は高くなるようです。

10~30枚を買い続けている人よりも「一度に大量購入できる人」の絶対数が桁違いに少ないから、コツコツ買い続ける人の当選者数が多いだけと思われます。

株券や馬券みたいに
「買う時で価格や倍率が違う」
「どの券を買うかを理屈で考えられる」
ならともかく、いつ買っても当選確率や当選額が変わらないのなら、当選するかどうかは「単純にたくさん買う方が当たりやすい」に決まってます。
※「運」という測定不可能な変数はとりあえず無視します。

宝くじは高齢者に優しいのでしょうか? 以下50代(25%)、40代(19.4%)と続き、年齢が高いほど幸運にありつける傾向があります。

世界有数の高齢社会ですから、単に「高齢者の人口が多いだけ」でしょう。違うというのなら「年代別の当選確率」を算出して発表していただきたいです。

職業では男性の133人が会社員、女性の61人が主婦でそれぞれトップとなりました。

再掲になりますが、会社員や主婦の絶対数が多いので、当選者に会社員や主婦が多くなるのは当たり前です。どうせなら職業別の当選確率も計算してほしいです。

宝くじにちょっとした夢を見るフツーの人に、幸運の女神は微笑むようです。

 

谷岡一郎氏の「ツキの法則」(たぶん)に、「公営ギャンブルでの収益には消費税どころでない逆進性がある」というような事が書いてありました。

※所得税のように「所得が多い人ほど負担率がが上がる」のが普通なのに、逆に「所得が少ない人ほど負担率が上がる」から「逆」進性なわけです。

要するに「貧乏な人ほど公営ギャンブルで『義務でもない税金』を払いたがる」ということが書いてあった記憶が。

公営ギャンブルの御三家、競馬・競輪・競艇ですら「テラ銭は25%」なのに、かけたお金の半分以上を持って行く胴元なんてどこを探してもいないでしょうね。

私は高校の頃には一応「進学校の理系コース」に属していたのですが、熱心に授業でやるのは「微積分」や「代数・幾何」あたりの大学受験で良く出る分野だけ。確率や統計は「ちょっとやったレベル」だった気がします。

しかし、文系・理系を問わず実生活で生きる知恵として必要なのはむしろ「確率・統計」です。

この辺の知識がないと、税金が高いとか文句を言いながら「自主的に余計な税金を払う」生活を送る羽目になったりします。

あるいは、元記事のように「当選者数」と「当選確率」は違うものだという事すら理解できていない記事を書くことになります。

商売絡みで言えば、自分が安全策を採っているつもりで、実はとんでもなく危ない橋を渡っている(渡らされている)という事にもなりかねません。

…そうは言っても、今さら高校の教科書を引っ張り出してくるわけにも行きませんし、あれを読んで分かるなら苦労もありません。

確率なら先ほど取り上げた「ツキの法則」を、統計なら同じ筆者の「リサーチ・リテラシーのすすめ 社会調査のウソ」をオススメします。

◆シンプルすぎる要約◆
学校の授業では地味な脇役だった「確率・統計」は、実生活で地味に役立ちます。というか身に付いてないと、えらい損をしかねません。

2009年5月14日商売の考え方

Posted by 新谷貴司