●書評:デトロイト・メタル・シティ(若杉公徳/白泉社)

いい人がいい人でいることに疲れた根岸君が、デスメタルのカリスマになった先に待ち受ける運命とは？趣味を取り入れずに評価を得ること、本当の自分を隠して爆発する

・気弱ないい人が「いい人」でいることに疲れると、一
体どうなる？
・どうやったら人々の脚光を浴びることができるのかを
覚えてしまうと、どうなるのか？
・しかも、自分の好きなことでは全く評価されないのに、
好きでもないこと（家族や友人にも内緒）ではカリスマ
的な人気を得てしまったら？
・普段のいい人とは全く別人格を演じることで日頃の抑
圧やうっぷんを吐き出す快感を覚えてしまったら？
　
　
ポップ歌手を目指す根岸君は、なぜかデスメタルのカリ
スマ・クラウザーさんになってしまったのです。

元々、無理やりにデスメタルバンド「デトロイト・メタ
ル・シティ（通称DMC）」のボーカルに仕立て上げられた
はずなのに…

・自分が本来やりたいポップスを路上で弾き語り
→DMCのコピーバンドに群がるギャラリーに罵倒される。

・久しぶりに大分の実家に帰った
→弟がDMCの信者になって兄の言うことを全く聞かない。

・大学時代から片思いの相手がいる
→無頓着にほかの男と仲良くしている

こんな理由で、そこら辺の路上や大分の田舎にクラウザ
ーさんが（別に二重人格じゃないので、自分でメイクし
てカツラをかぶって衣装に着替えて）登場してしまうの
です。

どう考えても、この根岸君はクラウザーさんというキャ
ラに依存しすぎ。ヤバすぎます。

もしこの先、DMCの人気が落ちてしまったら彼はどうする
んでしょうか？

素の自分では誰も相手にはしてくれないし、かといって、
ブームが去った後のクラウザーさんでもダメとなってし
まったら…。

考えたらゾッとしますね。

あ、でも、一発屋でその後の噂をちっとも聞かない芸能
人も似たようなものなのかもしれません。

立場と肩書きとか資格とか、そういった自分の外側にあ
るものに依存するというのは、寄りかかっているものが
使える間はいいとしても、いつまでも寄りかかれると
は限りませんから。
　
　
ところでこのマンガ、基本的に超バカで超下品です。
ご家庭内に良い子や堅物の配偶者がいらっしゃる方は、
くれぐれもご注意ください。

もちろん、ご自身が生真面目な堅物な方は、間違っても
読まないでください。一切のクレームは受け付けません。

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◆シンプルすぎる要約◆
立場と肩書きとか資格とかキャラクターとか、そういっ
た自分の外側にあるものに依存するのは危険です。