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書評「中年童貞 ―少子化時代の恋愛格差―」

中年童貞」は、全国童貞連合会長の著書で30歳以上の童貞の苦悩や日常を描いています。社会的な軽蔑や同じような悩みを持つ人々との共感があり、その立場にある者の意見も含まれています。性欲があるけれどうまくいかない現実に直面している人々にとって、この本は参考になるでしょう。

読んで字のごとく、中年(30歳以上)になっても童貞のままでいる人(「全国童貞連合」会長)の本です。

アマゾンの書評やあちこちのブログを見る限りでは、

・強者の軽蔑
(たとえば、404 Blog Not Found)
・同類の共感
(たとえば、「人間」になり損ねた「人」の記録。)

しか見当たらないので、似たような立場にあった(すんでの所で「中年」童貞にはなりませんでしたが)者の意見でも書いてみます。

単に性欲が乏しくて童貞でい続ける人や、毘沙門天に誓いを立てている人はともかく、それ以外の大多数は「女性にもてたいし、いたしたい」のです。たぶん。

でも、うまくいかない。なんでか?

痛い過去を振り返りつつ、件の本を読んで思った事を。

1.基本的に女性とのコミュニケーション能力なさすぎ

初めてのデートでいきなりプロポーズとか、脳内が「やること」で埋め尽くされていたりでデートがうまくいくと思う方がどうかしてます。

かく言う私の場合、「お前必死だな」オーラが全身から吹き出していたようです。

友人が誘ってくれた合コンだとかハイキングだとかで、気に入った女の子にベタッと貼り付いて、空気も読まずに延々と話しかけていたのですから、そりゃあ必死さ(正確には余裕のなさ)が伝わるに決まってます。

とりあえず対策としては、是が非でも身近に女性がいる環境を作り上げるしかありません。そうして、女性とのコミュニケーションに少しずつ慣れないと。

あと、女性に限りませんが「話を聞いてくれる人が好き」なもんですから、相手の話をきちんと聞くというのは非常に大切です。

逆に言えば、それさえできれば他の欠点なんて帳消しにできてしまいます。

2.相手の女性との関係を急いで進めようとし過ぎる

もてない奴にありがちなパターンとして、一気に関係を深めようと急ぎ過ぎるというのがあります。少なくとも私はそうでした。

上でも書きましたが、ほんの1時間かそこらで何を期待してるんだお前は、と当時の私を後ろからぶん殴ってやりたくなります。

だいたい、合コンだの何だので今知り合ったばっかりなんですから、そこで恋愛関係まで持ち込める訳ないのです。それができるような奴はもてるに決まってます。

とりあえずは自分の事をちょっとでも印象付けるだけで十分です。電話番号かメールアドレスを聞き出せば、後でいくらでも手は打てますし、そうすべきなのです。

3.見た目に問題ありと自覚しながら対策を取らない

もっと正確に言うと「何をどうして良いか分からない」のです。私は昔も今も、自分に似合う服を選べません。

今はまともな格好をしないといけない時には、妻に全部頼んでいますが、昔とかホントに凄まじい服装でした。

蛍光オレンジだとかショッキングピンクだとか、どこでこんな訳のわからん服を買ってくるんだというような、もの凄いのを着てましたから。

その当時の写真が残ってなくて良かったと心底思います。

自分にセンスがないことまでは、たぶん自覚してる人も多いのですが、問題は「じゃあどうすれば良いのか?」です。

件の御仁も自分(や他の中年童貞のみなさん)の見た目が行けてない事は分かってるようですが、そこから先の対策が取れてないのです。

どうすりゃいいか?

まずは「シンプル・イズ・ベスト」です。人のことは言えませんが色彩センスのない人はなぜか色んな色を使いたがります。

あるいは、デザインセンスがない人はゴチャゴチャと色んなものを身に付けたがります。似合う訳ないのに。

ベネトンみたいに派手な色をうまく合わせられればいいのですが、そんなもん十中十まで無理に決まってます。

だったら使う色の数を減らすしかありません。

もっといいのは、多少の出費は覚悟しつつ、お店の人に相談してみることです。行けてそうなお店で、上から下までコーディネートしてもらえば、ド外れな格好にはならないでしょう。

自分のセンスが当てにならないなら、自分よりも数段当てになりそうな他人のセンスを買うのが一番です。

見た目(服装に限らず)なんて本人の努力でかなり何とかなるものですから、やらないのは単なる怠慢です。

4.失敗して恥をかくのが怖い

怖いですね。せっかく意を決してデートに誘ってるのに振られたら傷つきますから。ええ、身に覚えがあります。

ファーストフードのバイトの女の子をデートに誘ったら、「彼氏がいるから」と一刀両断された事があります。

合コンで知り合った相手に毎晩電話をかけてたら、10日目に「うっとうしいから二度と電話しないで」と言われた事もあります。

ええ、地獄の底まで落ち込みましたとも。

件の御仁は「初めてのデートが今のところ最後のデート」「しかも今から5年前」だそうです。もうアホかと。

おおよそどんな事でも
「やってみて」
「失敗して」
「反省して」
「改善して」
「またやってみて」
この繰り返しなしに身に付く訳がありません。

相手にこっぴどく振られたって(自殺でもしない限り)別に死にやしませんし、必ずしもその相手との未来がなくなったとも限りません。

仮にどうにも救いがないくらいボコボコに叩きのめされても、日本だけでも何千万人も女性はいるんですから、一通り落ち込んでから次の女性を探せばいいんです。

反省すべき点は反省して、「ああ、この人とは縁がなかったんだ」ととっとと諦めるべきなのです。「日本のどこかに私を待ってる人がいる」かもしれないじゃないですか。

5.脳内のバーチャル女性を相手に尻込みしてるような

本を読んでる限り、どうもこの人は「マスコミが作り上げた虚像」を相手にビビッてるように思えてなりません。

マスコミと言うのは「犬が人を噛んでもニュースにはならないが、人が犬を噛めばニュースになる」という人の集まりです。新聞記者の友人は何人かいますが、実際そんな奴ばっかりです。

つまり、当たり前でないことを大々的に取り上げるのがマスコミなのに、それが当たり前だと思い込む方が間違ってるのです。

とりあえず、「現実の女性に接しましょうよ」としか言いようがありません。

なんか、こうしてみるとお客様相手の商売とも共通点があるような。

・中年童貞 ―少子化時代の恋愛格差―(渡部 伸/扶桑社)

2007年8月13日オススメの本など(※アフィリエイト)

Posted by 新谷貴司