22文字で、ふつうの「ちくわ」をトレンドにしてください
東洋経済オンライン元編集長が教える、人の心をつかむキャッチコピーの作り方。45のコツと豊富な事例で、チラシやSNSの反応を劇的に変える方法がわかります。地元のお店の集客にも役立つ一冊です。
目次
というタイトルの本を見かけて、
「こだわりのちくわならともかく、ふつうの『ちくわ』をトレンドにできるものなの?」
と、お題の無茶ぶりに惹かれて買ってしまいました。
著者の武政秀明さんは、これまでウェブメディア編集部で7,000以上の記事タイトルを考えてきて、ピーク時には月間3〜5,000万PVを個人で叩き出した実績を持つ東洋経済オンラインの元編集長でした。
また、編集部内で読まれるタイトルのパターンを共有して、ほかの編集部員も成果を上げてきたとのことで、ノウハウの説得力と説明のわかりやすさが違いました。
反応の良いキャッチコピー(掴みの文)を自分で考える手助けになる本だと思いましたので、紹介します。
「チラシやネット広告、ブログやSNSなどの反応が悪い」「お客様が興味を持ってくれるキャッチコピーを作りたい」という方は、読んで損はありません
▼22文字で、ふつうの「ちくわ」をトレンドにできるの?
もし、漁港の朝市で採れたての魚を、その場ですり身にして焼き上げた竹輪なら、いくつかキャッチコピーが思い付きそうなものです。
ところが、お題は「近所のスーパーで売っている4本150円(税込)のごくふつうの竹輪」でした。
無茶なお題に思えますが、本を読み進めると複数の切り口からキャッチコピーを作っていて
「これはすごい。キャッチフレーズを考えるためのアイデアや切り口もわかりやすい。」
と感心しました。
そこで、具体的にオススメできるポイントを紹介します。
▼この本がオススメできる3つのポイント
1.ノウハウと事例、解説が実践しやすく書いてある
この本には、表紙の写真に「一瞬で心をつかむ言葉45のコツ」と書いてあるように、目次を見るだけで数々のノウハウが載っています。
とは言え、ノウハウを読むだけで、キャッチコピーを書く能力が身に付くわけではありません。
自分で本を読んで独学するときに最低でも必要な項目は、この3つです。
- コツやノウハウ
- わかりやすい事例
- 事例からコツを理解するための解説
どれが欠けても、ノウハウを身に付けるのが難しくなりますが、この本には3つとも載っています。
a.コツやノウハウ
たとえば、序章で【自分の頭ではなく「相手の頭」で考える】というノウハウを紹介しています。
この文章ではあまりピンと来なかったのですが、次章で自分の頭で考えた事例と、相手の頭で考えた事例を載せています。
b.わかりやすい事例
- 自分の頭で考えた事例「育児相談会のご案内」
- 相手の頭で考えた事例「ホッと一息 先輩ママと語る子育ての楽しみ方」
事務的に感じられる前の事例に比べると、後の方がイベントの内容が伝わりやすく感じます。
ただ、これでも、一般的な例より良い例の方が目を惹くらしいことはわかっても、いざ自分がお客様の興味を引きつけるキャッチコピーを考える時に
「何に気を付けたらいいのかがわからない」
「真似をしてコピーを作ってみたが、どうも違う」
となりがちです。
c.事例からコツを理解するための解説
そこで、事例だけでなく選ぶ言葉の一つ一つに、どのような意味を込めているか、といった解説を載せています。
どんなところに注意すれば良いかが格段にわかりやすいのではないでしょうか。
項目の最後には、キャッチコピーを練るときに肝に銘じておきたいことを載せて締めています。
「自分の書きたいこと」から始めてはいけません。「相手に伝わること」から始める必要があるのです。
「こういう視点で作ると、刺さるキャッチコピーになる」とわかりやすいので、理解がはかどります。
2.一つのお題をいろいろな切り口で考えることを勧めている
特に心の余裕がなくなると「こうすれば間違いない。ほかはダメ」といった、ただ一つの正解を求めがちです。
その一方で、現実のお客様を相手にするときに、「絶対に間違い」ということはあっても「これが唯一の正解」ということはまずありません。
キャッチコピーを考えるときも同じようです。
「ウイーン派遣高校生を募集します」という貼り紙を見かけた著者が、詳細を読んで「なんともったいない」と嘆きながら、いろいろな切り口でキャッチコピーを考える場面がありました。
- 「物語」を考えてみます
- 「人格」を感じられる表現に
- 「数字」で具体性を加えると
- 「わかりにくい」を「わかりやすい」にすると
このように、切り口に合わせたキャッチコピーをいくつか考えて、「今回はどれが一番しっくりくるか」などと比較検討ができるようになります。
この本では45のコツを紹介していますので、活用できそうなコツはいくつかあるはずです。
使えるコツを当てはめたキャッチコピーを実際に作って比べてみれば、より良いコピーを生み出しやすくなるでしょう。
3.あくまで事実を基にすることを勧めている
ネット上に限らず「釣り・煽り・誇張・嘘」の見出しは珍しくありません。
本屋さんにもかつて「秒速で●億円稼ぐ」「1年で年収10,000倍」のようなタイトルの本がありました。今でも怪しい広告をSNSで見ない日はないくらいです。
「嘘ではなく、ちょっと大げさに盛るくらいしないと注目されない」
と思いたくなるのも無理からぬところです。
しかし、それをしてしまうと、タイトルに興味を持って記事にアクセスした読者は「ダマされた」と感じてしまい、御社への信用を失ってしまいます。
「釣り・煽り・誇張・嘘」などには頼らず、事実ベースでいろいろな切り口を考え、お客様の興味や関心にフィットするキャッチコピーで発信するのが、ベストです。
▼キャッチコピーを考えるときに手元に置いておきたい一冊
これは、一回読んで「ああ面白かった」で済ませる本ではなく、手元に置いて、キャッチコピーを作るときに読み返していただくマニュアルです。
チラシやメルマガ、SNSへの投稿などに載せるキャッチコピーや、つい読みたくなるフレーズを考えるときには、次の手順で役立てていただくのが良いでしょう。
▽この本を参考にキャッチコピーを考えるための手順
- 58ページからの
「響く言葉」が持っているものー文章力の前に何が必要かー
を読みます。 - 素材になる商品やサービス、イベントなどについて考えを書き出し、深めてみます。
- 目次に目を通して、利用できそうなノウハウに目星をつけます。
- キャッチコピーをいくつか書いてみます。
キャッチコピーを考えるためのマニュアルとして、ぜひお手元に置いてください。
Amazonからのご注文は、本の写真をクリック(タップ)しておこなえます。

22文字で、ふつうの「ちくわ」をトレンドにしてください
(武政秀明/サンマーク出版)
▼「最後まで読んで・見てもらえれば」の前にすべきこと
今のご時世、情報量が多すぎます。ネットニュースだけでも読める分量よりも、各社から配信される記事の方が多いです。
YoutubeやTikTokの動画も、こちらが1本見ている間に何本が新しく投稿されていることか。
そんな状況で、文章や動画を「最後まで読んで・見てもらう」のが難しいのは間違いありません。
そもそも「最後まで」どころか「最初で」判断されるのですから、キャッチコピーや見出しで「ちょっと見てみよう」と思っていただく必要があります。
そして、この記事をお読みの方は、「注目だけ集めておしまい」ではなく、商品やサービスを利用し続けていただく必要があることでしょう。
「釣り・煽り・誇張・嘘」で注目を集めるわけにはいきません。
大げさな表現に頼らず、お客様に興味を持っていただくために、今回紹介する【22文字で、ふつうの「ちくわ」をトレンドにしてください(武政秀明/サンマーク出版)】が役立てば幸いです。







