なぎなたとは
なぎなたの歴史
なぎなたとは、反りが大きく鋭く尖った刃を長柄(ながえ)に装着した武具のことを言います。
なぎなたは戦のときに、敵を振り回し薙ぎ切る武具として用いられていました。
徒戦(かちいくさ)においては、接近した状態でも間合いが取れることで、
主力武器として用いられ馬上の武器としても重宝されました。
また、薙ぎ切るだけではなく「突く」「打つ」ことにも適した武器であったため、
多種多様な攻撃が可能となり、最強の武器として一世を風靡しました。
しかし、1467年京都で起こった応仁の乱以降、歩兵による集団戦が主流になったことから、槍が用いられるようになりました。振り回すと周りを巻き込む恐れのあるなぎなたは、主力武器から外されるようになりました。
江戸時代に入ると武家の女子が習得する武芸として「薙刀術」が広まり、「薙刀」=「女性の武術」というイメージが作られました。
昭和時代には学校教育にも採用され、競技武道へと発展を遂げ、現代に至ります。
なぎなたの理念・指導方針
理念
なぎなたは、なぎなたの修練により、心身ともに調和の取れた人材を育成する。
指導方針
なぎなたの正しい指導により、技を練り、心を磨き、気力を高め、体力を養うとともになぎなたの特性の中に生きる日本の優れた伝統を守り、規律に従い、礼譲を尊び、信義を重んじ、毅然として広く平和な社会に役立つ人を養う。
なぎなたの特性と効果
なぎなたの特性
1.武道的特性・・・日本の伝統文化であり、スポーツとの違いや共通点を学ぶことができます。
2.技の特性・・・なぎなたの技術向上に伴い合理的な力の使い方を習得し、柔軟性・敏捷性・巧緻性が育成されます。
3.競技の特性・・・演技競技・試合競技があり、武道的特性を持った生涯スポーツとしても目標に応じて幅広く行うことができます。
なぎなた修練の効果
・精神的効果
1.礼儀:相手を尊重する心をあらわしたものが礼です。共に技を磨き、心身を鍛錬するので謙虚で協力的な態度が養われます。
2.気力:なぎなたは技と動きが多彩であることから集中力・判断力が養われ、繰り返し練習することにより忍耐力・持続力が養われます。
・身体的効果
1.心気力に満ちた全身運動ですから、血液循環を促進させ新陳代謝を盛んにし、常に活気ある身体を維持することができます。稽古を続けることにより自然に体力が向上し全身を円満に発達させることができます。
2.正しい姿勢による稽古で、均整の取れた身体を正しく美しい姿勢づくりに役立ちます。
3.なぎなたは全身運動であり、左右均等の動きが多く、相対の動作により機敏で変化に対応する能力を養うことから、活力ある健康な体をつくることができ、持続することにより体力を向上させます。
修練の心構え
1.正しいなぎなたの術理を習得し、修養に努めること。
2.日常の姿が社会人として尊敬に値する品格を備えること。
3.心気力を充実させ、向上心をもつこと。
4.技能・指導の工夫研究に努め、その成果を指導の場で実践すること。
5.自他ともに健康管理・安全に留意すること。
なぎなたの競技
「演技競技」と「試合競技」という2つの競技があります。
演技競技
「演技競技」は、決められた形や技などを2人一組で演技し、その技の出来栄えを審判の方が優劣をつけます。
全日本なぎなた連盟のしかけ応じ8本の中から定められた3本を、コート内で赤、白2組の演技者によって技を競います。5名の審判員が赤、白の旗を持ち、厳正的確に演技者の充実した気勢と適法な姿勢による技の良否を見定めて判定し、過半数をもって勝敗を決定します。
【判定の基準】
・演技者双方の姿勢、服装、態度、発声、呼吸と気持ちが調和しているか
・打突部位を正確に気魄に満ちた打突をしているか
・残心、間合、手の内、着眼等理合にかなった技であるか
・見る人に感動を与えたか
試合競技
「試合競技」は、3本勝負の内、2本を先取したら勝ちになります。面・胴・小手・咽喉にすねを加えた5つの部位を、確実に早く打突すると有効なポイントになります。勝負がつかない場合は、1本勝負の延長戦を行います。それでも決しない場合は判定となります。
有効打突とは、なぎなたの打突部で打突部位を、充実した気勢と適法な姿勢とをもって、打突部位を呼称しながら確実に打突し、残心のあるものをいいます。
・物打(切先から15センチ位)が正確に打突部位に到達していること。
・打突時に姿勢が正しく理にかなった動作であること。
・打突の機会がよいこと。
・気魄に満ち、打ったあと残心があること。
・やや軽くとも追い込んだ際の打突、あるいは追い込まれた時に加えたもっとも確実な打突。
これらの条件を満たしている打突が有効と認められます。
なぎなたの昇段・昇級について
毎年3~5月頃と9月頃に昇段・昇級の審査会があります。合格すると昇格します。初めて審査を受ける方は半年以上継続して稽古を積む必要があります。
【審査項目】
なぎなたの道具・防具・服装
【なぎなた】
全長210㎝~225㎝ 重量650g以上
【防具】
面、甲手、胴、垂、脛当
【道着】
なぎなた衣・袴(と下帯)
なぎなた関連の書籍 DVDなど
あさひなぐ
なぎなた男子
実戦!なぎなた入門基礎編
実戦!なぎなた入門応用編